スピン・エレクトロニクスグループ
マグノニクス

ナノ構造磁性材料や磁気現象などのスピン工学分野を中核にして、光や高周波電磁界、超音波や熱、電子伝導などとの協調現象を巧みに利用した基礎から応用にわたる研究を行っています。

磁気光学3Dディスプレイ

概要

 豊橋技科大のスピン・エレクトロニクスグループではナノ磁石で構成された広視野角の3次元ディスプレイを開発しました。画素サイズが1マイクロメートルであり,視野角は30度以上の3次元像を再生できます。このディスプレイは特別なメガネが不要で視野角内の任意の角度,場所から3次元像を見る事ができます。

磁気光学3Dディスプレイで再生された立方体。ボルトの上に浮かんでいる様子が分かる。

はじめに

自然な3次元(3D)像の表示技術は医療,教育,放送など幅広い分野において需要があり,応用が期待されています。従来のディスプレイはメガネが必要であったり,見る位置や角度が固定されていたりして,見る側にストレスがありました。これは2次元イメージを使用していたことによるもので,眼精疲労を生じる課題もありました。ホログラフィーは実際の物体と同一の波面状態を持つ光を再現できるため,裸眼で3次元像を見ることができ,かつ輻輳と焦点の不一致による眼精疲労が生じないといった特徴を有しているため,理想的な3D像表示技術として注目されていました。

3次元像を再生できる角度の最大値は視野角と呼ばれ,記録されたホログラムのピクセルサイズに依存しています。ピクセルサイズを,ナノスケールにまで小さくすると,それに反して必要なピクセル個数は膨大となり,大きな視野角をもった3Dディスプレイの作製はこれまで困難とされてきました。

これまでの研究成果

 豊橋技科大のスピン・エレクトロニクスグループでは,高木宏幸准教授を中心として,高密度および高速記録に優れた磁性体と熱磁気記録方式を用いる事で,ナノメートルのピクセルをもつディスプレイを開発し広視野角3D像を再生に成功しています。

 我々の手法では,磁性体の磁化を制御するレーザ径によってピクセルサイズをナノからマイクロメートルまで制御することが可能です。磁性体の磁化のスイッチング速度は10nsec/pixel以下であり,ディスプレイ表示には十分です。この方法によって1マイクロメートルの磁気の画素を形成することができ,30度の広視野角を持つ,3D像の再生に成功しています。

ナノ磁石による画素像.(A)一つの画素のサイズが1マイクロメートル角で256×256個の画素の顕微鏡像.(B)3×2個の画素,画素間隔が2.5マイクロメートルの磁気力顕微鏡像.

これからの研究

今後は,この手法を用いて,特別なメガネが不要で,視野角内の任意の位置から見る事ができる,3Dディスプレイの高性能化を進めていきます。

関連する発行済論文

Kazuki Nakamura, Hiroyuki Takagi, Taichi Goto, Pang Boey Lim, H. Horimai, H. Yoshikawa, V. M. Bove and Mitsuteru Inoue, "Improvement of diffraction efficiency of three-dimensional magneto-optic spatial light modulator with magnetophotonic crystal", Appl. Phys. Lett., 108, 022404 (2016/01/12).