スピン・エレクトロニクスグループ
マグノニクス

ナノ構造磁性材料や磁気現象などのスピン工学分野を中核にして、光や高周波電磁界、超音波や熱、電子伝導などとの協調現象を巧みに利用した基礎から応用にわたる研究を行っています。

マグノニック結晶

 静磁波(Magnetostatic wave)または交換スピン波(exchange spin wave)は、 強磁性体内のスピンの歳差運動の位相のずれにより生じる磁気波です。 これらの磁気波は,単にスピン波とも呼ばれ、いずれも強磁性共鳴が起きるGHz帯域の高周波領域で発現します。 また、静磁波はその特徴として、印加する静磁界の大きさによって周波数選択性をもつので、 遅延線や可変フィルタなどに応用が可能であり、古くから研究がなされています。 静磁波デバイスの構造は用途によって異なりますが、単に静磁波を励振し、 検出するだけであればマイクロストリップラインを2本対向させた単純なもので十分励振可能で、 フォトリソグラフィ技術で容易に作製できます。

Fig. 1 静磁波の伝搬特性(印加磁界に応じてある特定帯域のみ励振)

 本研究室ではYIGに周期構造を施し、静磁波を局在させることで、既存の静磁波デバイスにない 新しい機能を発現させることを目的とし研究を行っています。 その方法として、フォトニック結晶のような人工的な構造物であるマグノニック結晶を作製し、 その基礎特性の評価を行っています。  マグノニック結晶の作成方法として、静磁波の導波路となる YIGに周期的なグレーティングやホールを作製する方法が一般的ですが、 本研究室では外部周期構造体を用いてYIGに周期的な変調を与えています。 例えば、周期的な金属線をYIGに対し接触させることにより、 静磁波のエネルギーの散乱が発生し、周期的に静磁波の特性が変化することを 利用してマグノニック結晶を形成しています。

Fig. 2 銅周期構造によるマグノニック結晶の伝搬特性